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ふしぎなめぐりあわせとご縁のこと。
ふしぎなめぐりあわせと、ご縁の話しです。
毎月のならわしで、一日(ついたち)は、地元の鎮守のもりにある神社へ
お礼参りにいきます。
ちいさな神社ではありますが、本殿の傍に「素麺神社」もあるのです。
柏手をうって
このひと月、ケガなく健康で麺づくりができたこと、
お客さんをはじめ、ありがたいご縁にめぐまれたこと、
日頃のもろもろのことに感謝していると
スッキリとして、おだやかな気持ちになります。
そしてふしぎなことですが、
だいたい毎月、お礼参りをして数日のうちに、
うれしいしらせが、とびこんでくるのです。
今月は、おもいがけない来客がありました。
数年来、ずっとお世話になっているかたなのですが、
電話とお手紙でのやりとりばかりで、
お会いする機会をなかなかみつけられないままでいました。
いつかお会いしたいですね、と話してはいたんですが、
その長年の夢がとつぜん叶うことになったわけです。
超大型といわれた台風18号が九州にちかづくなかの日程だったので
気をもみましたが、これもふしぎなことに、今回の旅程には
ほぼ影響なく、むしろ天気にめぐまれて、お会いすることができました。
お付き合いのはじまりも、ふしぎなめぐりあわせを感じながらのもので
それいらい十年ちかく、わが家はいろんな面でたすけていただいてきましたが
今回も、ふしぎなめぐりあわせを感じさせるものでした。
ところで、お客さまをおむかえするということは、
自分たちにとっても、地元の良いところを発見するきっかけになりますね。
どんなところが、たのしめるだろう、めずらしいだろう
どんな食べ物が、よろこんでいただけるだろう
どんなお土産が、ふるさとの風土をおつたえできるだろう
どんな風景が、心にのこるだろう
来られるかたを思いうかべながら、地元をあらためて見てみると
ちかくにいるのに知らなかったことを発見したり、
あたりまえと思っていた風景のすばらしさを再発見したり、、、
とはいえ、実をいうと
「何もない田舎で、遠くからわざわざ来ていただいたのに
退屈な思いをされたら、もうしわけない」
という心配もすこしありました。
でも、お客さまご家族と一緒にまわってみると
地元の滋味のゆたかさ、風景のうつくしさに、気づかされます。
お客さまも、すごくいいところですね、と島原を気に入ってくださり
そのような土地に暮らしていることを、あらためてありがたくおもいます。
◆
お会いして、おたがいにお話ししたことですが、
ずっとまえからお会いして知っているような親近感をおぼえて、
はじめから打ち解け、たのしい時間をすごしました。
ちいさいお子さんたちもいらしたので、にぎやかな宴となり、
笑い声の合間をぬうように、お仕事の話し、家族の話し、食べものの話し、
土地の話しなど、よもやま話をするうちに、
自分たちが麺づくりをしている原点を思い出すことができました。
おいしい!と笑顔になる麺
そのおいしさが人と人をつないでいく麺
ことばにするとシンプルなことです。
それでもわたしにとっては、
ふしぎなめぐりあわせを感じながら
お子さんたちの、のびのび、いきいきとした姿をみながら
この十年をふりかえりながら
そのシンプルなことが、すっと腑におちた夜でした。
◆
十年以上もまえの、ブランデーかなにかの広告写真だったと思います。
竹中直人さんが、宴席をまえにひとり座り。
テーブルにはすでにブランデーのビンとグラスがあり。
向かいの席にはまだ相手はみえていません。
その、まだ無人の席を、竹中さんは微笑みをうかべて眺めている。
写真にそえられたコピーは
「清志郎さんが来る。」
大好きな忌野清志郎さんとこれから飲む。
話したいことは山ほどある。
清志郎さんはどんな話をしてくれるだろう。
そんなワクワクした気持ちが伝わってくるとても良い写真でした。
今回も、おなじような気持ちでお客さまをおむかえしました。
そんなふうにワクワクした心で人をむかえられることは
とてもしあわせなことです。
お客さまが帰られた数日あと、ふと麺づくりの手をとめて
父が言いました。
「そうめんをつくってなかったら、知り合うこともなかった人と
こうしてご縁ができる。
こがん(こんなに)しあわせなことはなか。」
◆
ながい文章になってしまいましたが、この数日で感じたことのなかに
忘れてはいけないものがふくまれている気がして、
それをすこしでも感じてもらえれば望外の喜びですが
なかば自分自身への備忘録として書きつけています。
印象的だったのは、お客さまが、さらりと口にされたことばで、
そしてそれをそのまま体現してらっしゃることに感銘をうけて
自分もそうありたいと、感じたことば。
10年後の自分にも、贈りたいことばです。
「ご縁を大切にして、
ご縁をいただいたところで
精一杯、自分ができることをするだけです」
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